淀川河川公園基本計画改定委員会
淀川河川公園フォローアップ委員会

はじめに

 淀川河川公園は、昭和47年(1971)に整備事業が始まってから、これまで30年間にわたり順次整備が進められ、現在では公園計画面積962.1haに対して供用面積は224.7ha(約23%)に達し、年間400万人を超える利用者を集めるまでになっています。

現行の公園基本計画は昭和50年(1975)に策定され、昭和54年(1979)に改訂されたものですが、これは「沿川都市において運動施設などが整備されるまでの間、淀川河川公園において暫定的に施設広場地区の拡大を図る」という方針のもとに計画されています。このため、グラウンドなどの整備が先行し、また、高水敷部分だけが公園として利用される「河川敷公園」にとどまっています。
 一方、公園基本計画の改訂から20年以上が経過する中で、わが国の社会経済の変化を受けて淀川河川公園をめぐる状況は大きく変わってきました。
 まず、各種の環境問題が顕在化する中で、公園では自然環境の保全・回復や生物多様性の確保などが求められています。
また屋外でのレクリエーション活動は多様化・個性化しており、自然とのふれあい活動や健康運動への志向の高まり、地域の歴史・文化への興味の拡大、さらに淀川ののびやかな景観を通じた精神的な癒しなどを求めるようになっています。
 そして、阪神・淡路大震災を教訓として、都市内の防災空間としての役割も重要視されてきています。
このような背景のもとに淀川河川公園フォローアップ委員会では、利用者の視点に立った公園基本計画の改訂を前提として、淀川河川公園が果たしてきた役割や整備効果についての現状分析や評価をおこないました。この結果、こうした評価をさらに深めた上で、自然や歴史など、もっと淀川らしさを活かした公園基本計画としていくべきだという結論を得ました。
 これに基づき、基本計画改訂に向けた提言を以下の4点にまとめました。淀川らしい淀川河川公園を目指し、これらの提言内容を踏まえて、また公園区域の拡大やゾーニングの見直しも次の検討課題と認識して、公園基本計画の改訂にあたられることを希望します。
  1. 自然環境の保全と再生・創出に役立つ公園計画
    1-1 淀川らしい自然環境を保全し、再生・創出する
    1-2 川の背後地とのネットワークをつくる
    1-3 教育・研究の拠点としての役割を果たす
  2. 歴史と文化を取り入れた公園計画
    2-1 淀川の歴史・文化資源を活用する
    2-2 舟運を復活させる
  3. 淀川にふさわしい利用ができる公園計画
    3-1 水に親しめる場をつくる
    3-2 広々とした、連続した空間特性を活かす
    3-3 個性的で魅力的な利用拠点をつくる
    3-4 市民参加の公園づくりを進める
  4. まちと淀川をつなぐ公園計画
    4-1 まちと淀川とのつながりを強める
    4-2 川の大切さをまちに伝える
    4-3 防災に役立てる
1. 自然環境の保全と再生・創出に役立つ公園計画
淀川は古くから人の手が入ってきた河川ですが、広大なヨシ原や河口近くの湿地、ワンドなど、淀川らしい豊かな自然もまだまだ残っています。
これからの河川公園づくりでは、残された自然地を公園区域に取り込み保全するとともに、連続性・多様性に配慮し、淀川にふさわしい自然環境を保全・再生・創出するための取り組みを進めていかねばなりません。
また、こうした自然環境は淀川らしい景観をつくる上でも重要であり、この視点を含めた公園計画を進めていくべきです。
1.1. 淀川らしい自然環境を保全し、再生・創出する

都市近傍の大河川、千数百年におよぶ人の関わりの上につくられた河川として、残された自然地を大切にするとともに、淀川本来の動植物が生育できるような環境を持った淀川を取り戻すようにすべきです。
* 水際のヨシ原、干潟、ワンドなどの代表的な自然地の保全
* 淀川本来の水辺の生態系の回復
* 本来、淀川にいるべき生物が生息・生育できるような環境づくり
例:・高水敷の掘り下げや緩斜面化による冠水域の創出
  ・河川景観をつくる河畔林の創出

1.2. 川の背後地とのネットワークをつくる

淀川の中での自然のネットワークだけでなく、淀川全体が大阪都市圏の自然ネットワークの主軸となるような取り組みも必要です。
* 淀川に流入する支川との自然ネットワークの形成
* 市街地の公園緑地、周辺の自然地との役割分担や連携

1.3. 教育・研究の拠点としての役割を果たす

淀川は、環境学習や都市内の自然環境を考えるための調査・研究に格好の舞台であり、国営公園としてもこうした取り組みを進めていく必要があります。
* 幅広い年代に対応した環境学習の場としての活用
* 周辺機関や市民と連携した、自然環境についての調査・研究の推進

[参考] 淀川らしい水辺生態系の回復への取り組み例
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2. 歴史と文化を取り入れた公園計画
淀川は京都・大阪を結ぶ河川として、長らくわが国の中心地の交通・物流の主軸として使われてきました。淀川があったからこそ沿川のまちは発展し、またその中で淀川に因んだ様々な歴史・文化が育まれてきました。
現代では、生活の変化とともにこうしたものは忘れ去られつつありますが、淀川を考える上では欠かせない要素です。淀川河川公園においても、現代の人にも訴えかけるような形での歴史・文化を取りいれた公園づくりを目指すべきです。
2.1. 淀川の歴史・文化資源を活用する

人々の暮らしが川から遠ざかるにつれ、淀川の持つ歴史・文化への関心も薄れてきています。淀川の再評価のために、また河川公園の魅力的な資源として、これらを活用していくべきです。
* 閘門など歴史文化資源の保全と活用
* 魅力的な展示・博物館施設の整備、既存施設との連携
* 周辺市街地での歴史的なまちなみ整備との連携
例:・地域全体をエコミュージアムと見立てた淀川サイトミュージアム計画

[参考] 文化資源としての活用が進められている三栖閘門(京都市伏見区)
2.2. 舟運を復活させる

かつて淀川では京都・大阪を結ぶ舟運が発達しており、三十石船やくらわんか舟などが歴史に名を残しています。また、近年まで多くの渡し舟がありました。
こうした舟運の、現代にふさわしい形での復活を検討すべきです。
* 歴史を踏まえ、現代においても魅力的な舟運の復活方法の検討
* 歴史街道構想とも連携・一体化した舟運のあり方の検討
* 生物生息環境にも配慮した舟運のあり方の検討
* 防災面にも寄与する舟運および関連施設整備の検討
例:・淀川河川公園の両岸を結ぶ渡し船の運航

[参考] 歴史的な舟運の光景
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3. 淀川にふさわしい利用ができる公園計画
これまで、淀川河川公園では川や水、水辺の魅力を活かした整備はそれほど多くなく、そのため川を意識した公園利用も活発には行われていませんでした。またグラウンドや園地等も、河川のあるべき姿にとって必ずしもふさわしいものではありませんでした。
今後は、自然環境との調和に配慮しながら、水とのふれあいなど河川の魅力を発揮し、淀川ならではの空間特性を活かした利用を誰もがおこなえるような公園づくりを進めるべきです。
3.1. 水に親しめる場をつくる

さまざまな利用が可能なように、ワンド、タマリ、小水路など多様な水辺環境を整備していくべきです。
* 淀川らしい水辺の自然観察の推進
* 場所に応じた水面のレクリエーション利用の検討

3.2. 広々とした、連続した空間特性を活かす

近畿随一の大河川として、大都市をつないで広がるオープンスペースをもつ淀川の空間特性を活かした、くつろげる空間づくりを進めるべきです。
* 水辺の風景を楽しめる場所の整備、機会の提供
* 淀川らしいおおらかな河川景観の保全と活用
* 公園全体をつなぐ道路ネットワークの整備
例:・自然と調和した遊歩道やサイクリング道の整備

3.3. 個性的で魅力的な利用拠点をつくる

多様なレクリエーションニーズに応えるため、地区の特性にあわせ、特徴や魅力をはっきりと持った利用拠点を体系的につくるべきです。
* 広域的な集客拠点の整備
* 地域の利用拠点の整備
* スポーツ施設に関するこれまでのあり方の見直し
例:・原っぱや水たまりの復活

3.4. 市民参加の公園づくりを進める

地域の人が普段から色々な形で利用したり、運営に参加したりできるような公園として、自分たちの誇りにできる公園とすべきです。そのために、多様な形の市民参加のあり方を考えるべきです。
* 淀川らしい市民参加を進める
例:・沿川の住民や淀川に関わりたい人が集まって来る場所づくり、機会づくり
  ・市民参加を推進するための人づくり

[参考] 新しい淀川河川公園のイメージ
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4. まちと淀川をつなぐ公園計画
淀川は、沿川のまちの自然、歴史、文化、生活などに深く関わっており、まちづくりにおいて重要な位置にあります。
そうした中で、まちと淀川とをつなぐ存在として、両方に目を向けた淀川河川公園のあり方を考えていく必要があります。
4.1. まちと淀川とのつながりを強める

歴史を活かしたまちづくり、淀川を向いたまちづくりなど、沿川のまちづくりの方向とあわせた公園づくりを推進すべきです。
* まちと公園の接点となる部分の一体的整備
* まちの資源と連携した観光・レクリエーションネットワークの形成
* まちづくりと連携した淀川河川公園の整備
* 河川景観の整備をまちづくりにも活かす手法の検討

4.2. 川の大切さをまちに伝える

沿川の住民に対して、治水・利水など淀川の大切さをわかりやすく伝える役割を果たす必要があります。
* 展示・博物館施設やサービスセンターなどの施設のあり方の検討
* 川からの情報発信手法の拡大、手法の検討

4.3. 防災に役立てる

淀川高水敷の広大なオープンスペースを避難場所等に活用する必要があります。
* 府・市町の地域防災計画に対応する避難スペースの確保
* 非常時の救援・復旧活動などの中核となる広域防災拠点としての活用
* 災害時にも機能する公園までのアクセス道路の確保
例:・平常時はスポーツなどに、非常時は防災に役立つ広場等の整備

[参考] まちと淀川をつなぐ公園の概念
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